石垣に移住して10年目になります。白保嫁になった今でも白保が大好きです。
私がこんなにも石垣島白保にハマったのは、きれいな海やサンゴ、南国の気候が素敵だからではありません。
内地の人が忘れかけている人の絆や優しさ、助け合う心、そして自然への感謝。島の人から本来の「人としての生き方」の意味を教えてもらったからです。
是非ここに住む島の人の心を知っていただき、白保での滞在をより有意義な時間にしていいただければと思います。

移住2年目いろんな場所を回って島のことを全部知った気で天狗になっていた私。縁があって白保に住むことになり、島の人と付き合う中で島人の心を垣間見て、私は島のこと何一つ知らなかったと気づかされました。

干渉されるのは嫌!これは干渉ではなく、思いやりなのだ

 白保に来てまだ間もないある日、私は1人熱で寝込んでいました。すると近所のおばぁが「庭に成ってるバナナ、実を大きくするために花を切り落としなさい」と言いに来てくれました。ありがとうと言い、体調がよくなかったので休んでいると、隣のお宅にも大家さんにも「この子は内地の子だから分からないはず」と親切心で連絡をしてくれたみたいで、いろんなところから「早く切れ~」と連絡が…
いやうちの庭のことだし干渉しないで!とも思いましたが、おばぁが「毎日散歩するたびに気になっててね、教えてあげないと」と、私を想ってしてくれたこと。これは干渉ではなく思いやりなんだと気づきました。

他にも家屋周りの手入れのことや、宿の経営のことでの干渉、いや”思いやり”の洗礼をたくさん受けました。
でも都会で隣の人の名前さえ知らない人間関係希薄な生活をしていた私には、人との距離が近く干渉されることにうざったさよりも、どちらかと言えば気にかけてもらえる嬉しさとか、その人なりに考えてくれたんだなというありがたさの方があったと思います。
教えてくれてありがとう、アドバイスしてくれてありがとう、って。とらえ方次第なのかな。

白保が好きになった瞬間「豊年祭準備の話」

豊年祭準備での大先輩おじぃが話してくれた話。
白保豊年祭は1週間前から各班で集まり踊りの稽古をします。この踊りというのは豊作への感謝と来年の豊穣を祈る神への奉納です。

毎晩集まって踊りの練習をし、ちょっと練習したらまぁみんなで親睦会のように飲みながら準備を進めるんですが、そんな姿を見ておじぃが「なぜ1週間前から集まって準備するか」その真意を教えてくれました。

”農家が多い白保では苦しいお米の年貢を納め終わったこの時期、1年の苦しみから解放されそれはもう豊年祭を心から祝ったそうです。

冷蔵庫もない、割りばしや紙皿もない時代、100~200名近い村人のごちそうを用意するのは簡単なことではなかった。
みんなで山に食材を取りに行き保存食を作り、お皿を各家から集めて準備しやっとみんなでお酒を飲み、踊り、歌ってこの祭りを心の底から楽しんだんだ。

スーパーに行けばなんでもそろう今の時代では考えられないけど、この準備の1週間は村中が一丸となって助け合い、神への感謝に想いを一つにすることで、絆を深め喜びを感じたんだと。これこそが豊年祭の本当の意味なんだよ。そんな先人の想いを組みながら豊年祭を迎えてほしい。”


 なんか、白保人のアイデンティティの根本に触れた気がして、一気に心が奪われました。
石垣に移住していろんなことを知った気でいたけど、それは海がきれいとか、風が気持ちいいとか、それは島の表面的なことだけだった。初めてこの島の神髄に触れた気がして、心の中が熱くなり、この村のことをもっと知りたい、ずっと居たいと思った瞬間でした。

島人の6つの心

白保の人ってやっぱり琉球の人なので、根本的に違うことがたくさんあって、本当に異文化だと思います。
島の人のことを悪く言う人もいますが、この精神には私達内地の人が忘れてしまった心があります。
その心を持っている島の人を私は尊敬しています。
他にもたくさんありますが、私が体験した6つの心をご紹介します。

1 先祖崇拝

島の人は両親やおじぃおばぁ、自分の先祖をとても大切にします。十六日祭ではお墓の前でご先祖様と一緒にお正月をお祝いします。
自分が存在するのは祖先のおかげ、年寄りは人生の大先輩、おばぁのいう事は絶対!(笑)みたいな。
それが家族の絆の強さに繋がり、自己肯定感が強くなるんだと思います。

「旧盆」仏壇の飾り

仕事以外にも、家族または集落として必要とされていて自分の役目や活躍する場所があること、それが認証欲求を満みたし幸福を感じるのかな。沖縄は日本の中でも幸福度が常に上位です。すごいですよね。

「十六日祭」お墓の前でお祝い

2 ゆんたく文化

都会では一言もしゃべらずに買い物も外食だってできて、今日一言もしゃべってないなと思う事ありますよね。
島の商店では値段が書いてない野菜があったり、食べ方が分からないものを聞いたり、そんな小さな会話のコミニティーが幸せを産んでいるんじゃないかな。
簡素化、便利さを求めすぎな現代だからこそ、不必要な世間話…「ゆんたく(おしゃべり)」の重要性を感じます。本当にコミュニケーションって大切。小さな島は助け合っていかないと生きていけないから必然的に人との距離感が近かったり、あいまいが上手だったりするんでしょうね。

3 ゆいまーる

白保にきて初めての台風後の掃除(道中に葉っぱや砂が散乱、これがまた大変な作業なんです)をしていると近所の人が一緒に手伝ってくれて、みんなで周辺を掃除しました。すると終わった後に、「お疲れ様。そうめん一緒に食べよう~」って声かけてくれて、「これがゆいまーるだよ(助け合い)」と。「ゆいまーる」という言葉は知っていたものの、あぁ、人ってこうやって助け合いながら生きていくんだなとストーンと腹に落ちた感じがしました。

4 ゆらてぃく精神

白保の人は芸達者。三線奏者や歌者がたくさんいらっしゃいます。
そんな盛り上がるのが大好きな性格と、開放的で誰でも受け入れる「ゆらてぃく(=寄ってらっしゃい)精神」の気質に魅了されてか、白保は移住者も多く家族で移り住んでいる方も多くいらっしゃいます。居酒屋で飲んでいると一緒に飲もうと誘ってくれることも多々あります。
もちろん沖縄らしい、約束守らないとか、時間にルーズとか、我が強くて出しゃばりとか困ることもたくさんあるけど、そこがまた人間くさくて愛おしいなぁと感じます。

5 伝統行事の継承

石垣島でも集落ごとに色が違っていて方言も行事も違います。
白保では、疫病払いの儀式、水の神様への儀式、牛や馬への健康祈願、また農家が多いので稲作への祈願など多数あります。
こういった村の行事は公民館が中心となって行われ、それとは別にハーリー組合、獅子保存会、棒保存会、などの組合も活発で若い人も多く活動しています。

また家庭内では、正月、旧盆、彼岸に冬至、そして故人の法事など、年間たくさんの行事があります。家のおばぁ中心になって、長男嫁に受け継いでいっています。
こうした行事を行うことで先代が大切にしていた想いや自然・家族に対する考え方が今でも語り継がれ白保人の核になっているような気がします。

6 自然と共存

白保の嫁になり、結婚、出産、増築などを経験するなかで、たくさんの言い伝えを教えてもらいました。
台風が来るから仕事は休んで家を守ろうとか、
赤ちゃんは1歳になるまで神様の子供で両親を試しているんだとか、
福木の花が落ちてきたから間もなく梅雨だねとか。
自然を基に作られた話が多い、この言い伝えや知恵って、科学では証明できないけどあたってるってこともたくさんある。だからそんな話を聞くのが大好き。

現代では科学やITが進んで怖いものが少なくなってきたように思う。夜は暗くないし、天候も予想できるし、病気も治せる。人間は恐れるものがないというか傲慢になりすぎているというか…。
昔からの言い伝えや話って、「魔」がたくさん出てきてちゃんと怖がっているんですよね。自然や病気に対して正しく怖がって共存している感じ。自然に対して謙虚に生きている。
移住者や島外の人は自然を守ろうという考が多いと思いますが、島の人は自然を守るではなくて、自然と共存するという考え方なんだなと。どちらが正解というわけではなくてね。

石垣島白保がもっと好きになるよ

 ここまでご紹介した白保の人の話はほんの一部です。
沖縄にまったく興味がなかった私がこんなにも白保が好きになったのは、きれいな海やサンゴがあるからではありません。
垣根なく接してくれる人の温かさや、集落の伝統を守り伝えていこうとする姿、自然を正しく怖がり恩恵を受けていることへの感謝を忘れない心を持っているこの白保の人の精神に、人としての本来の生き方を教えてもらったからです。
わたしにとって白保は、居心地のいい場所で、自分が自分らしく生きていける場所になりました。

 石垣島は自然が豊かで素敵ですが、決してそれだけじゃありません。是非島の人と接点を持ってみてください。
(もちろんコロナ禍ですので、十分な配慮もお願いします)
島の人の暮らしや考え方から、大切な物が何か教えてくれるかもしれない。
異文化にふれることで、本来の自分の想いに気づくことができるかもしれない。
違うものに対して拒否をすればそこで終了。でも自分から1歩踏み入ってみれば違いを楽しめたり、新しい価値観を知ることができるかもしれません。
今度は皆さんが島の人の心にふれてみてください。白保のこと石垣島のことがもっと好きになるはず。

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